便利さの裏で、報酬返還につながるリスクが増えています
最近、介護や障害福祉の現場でも、AIで書類を作る事業所さんが増えてきました。
計画書、モニタリング記録、アセスメント、研修資料。 このあたりをAIに手伝ってもらうと、たしかに楽です。
正直に言うと、AIはかなり便利です。
文章のたたき台が一瞬でできる。 言い回しがきれいに整う。 抜けている項目も拾ってくれる。
事務作業の負担を減らすという意味では、本当に助かる道具だと思います。
ただ、ここで一つだけ気をつけてほしいことがあります。
それは、AIで作った書類を、そのまま提出することです。
見た目はきれい。でも、中身でバレます
運営指導で細かく見られるのは、訪問介護計画書や個別支援計画書、モニタリング記録、サービス提供記録あたりです。
そして、AIで作っただけの書類は、見た目がどれだけきれいでも、読む人が読むと分かります。
たとえば、こういう文章。
安全に生活できるよう支援します。 本人らしい生活を継続できるよう支援します。 心身の状態に配慮して支援します。 必要に応じて関係機関と連携します。
パッと見はきれいです。
でも、運営指導で見る側からすると、こう思われます。
「この人は、結局なにに困っているの?」 「なぜ、このサービスが必要なの?」 「本人は、どうしたいと言っているの?」 「アセスメントと計画は、つながっているの?」
ここが見えない書類は、「中身が薄い」と判断されることがあります。
AIっぽい書類のいちばん危ないところは、文章は整っているのに、その利用者さんの姿がまったく見えないことです。
「薄い書類」は、最悪の場合、返金になります
ここが一番伝えたいところです。
書類が整っていないと指摘されたとき、ただの「直してください」で終わらないことがあります。
計画と記録がかみ合っていない。 加算の根拠が書類から読み取れない。 サービスの必要性が説明できない。
こういう状態が続いていると、場合によっては、算定していた報酬の返還を求められることがあります。
つまり、すでに受け取った介護報酬を、後から返すことになるケースです。
しかも返還は、その月だけで済むとは限りません。 同じやり方で何か月も書類を作っていれば、対象がさかのぼることもあります。
「便利だからAIに任せていた」 それだけで、まとまった金額が返金になる。
これは、けっこう怖い話だと思いませんか。
なぜズレるのか。AIは現場に行っていないからです
AIは、その利用者さんの生活までは知りません。
最近ふらつきが増えてきたこと。 薬を飲み忘れる日があること。 掃除はできても、浴室掃除だけは難しいこと。 買い物には行きたいけれど、荷物を持つのが不安なこと。 家族に遠慮して、本音が言えていないこと。 それでも本人は「できるだけ自分でやりたい」と話していること。
こういう具体的な情報があるからこそ、サービス内容に根拠が出ます。
でもAIは、
利用者さんがどんな表情で話したのかを見ていません。 ヘルパーが訪問先で何に気づいたのかも知りません。 記録にどんな変化が積み上がっているのかも分かりません。
そこを埋められるのは、現場の職員さんだけです。
ハイタッチは、最後まで人の目で見ます
私たちハイタッチは、AIを使うこと自体を否定しているわけではありません。
うまく使えば、書類づくりの負担はちゃんと減ります。
ただ、ハイタッチがやっているのは、最後をアナログで詰める作業です。
計画書と、実際のサービス提供記録を突き合わせる。 アセスメントの課題が、計画にちゃんとつながっているかを確認する。 本人の希望が、文章のどこかに残っているかを見る。 加算を取るなら、その根拠が書類から読み取れるかをチェックする。
これは、AIには任せられない部分です。 現場の記録を一枚ずつ見て、人の手で整える。 地味ですが、運営指導で強いのは、結局こちらです。
運営指導で評価されるのは、AIっぽいきれいな書類ではありません。 現場の記録とつながっていて、本人の生活が見える書類です。
運営指導を無事乗り切るのは、AIっぽい書類ではなく、現場とつながった書類です。

