【前編】介護事業所の運営指導、実際どこを見られる?

まず確認しておきたい基本ポイント

「書類があります」だけでは安心できない

たとえば事業所に、

・虐待防止の指針
・身体拘束に関する指針
・感染症対策の指針
・BCP
・各種マニュアル

が全部そろっていたとします。

一見すると問題なさそうです。

しかし運営指導では、その次に、

「委員会はいつ開催しましたか?」

「研修記録を見せてください」

「職員への周知はどうしていますか?」

「訓練をした記録はありますか?」

と確認されることがあります。

つまり、

書類を作る

実際に運用する

実施記録を残す

ここまでつながっていることが大事です。

① 重要事項説明書と運営規程は内容が合っていますか?

これは本当によくあります。

運営規程には営業時間が9時~18時。

でも重要事項説明書には8時30分~17時30分。

運営規程には通常の事業実施地域が大阪市全域。

でも重要事項説明書には一部の区しか書いていない。

ほかにも、

・職員数が古い
・料金表が古い
・苦情相談窓口が古い
・営業日が違う
・サービス提供時間が違う

など、小さなズレが出ていることがあります。

それぞれ単体で見ればきちんとした書類でも、横に並べると内容が違う。

運営指導ではこういうところも確認されます。

ハイタッチでは、

運営規程
重要事項説明書
契約書
料金表
指定関係書類
加算届

などを横断して見ながら、内容が合っているか確認しています。

② 計画書は「あるか」ではなく中身まで確認される

訪問介護計画書、通所介護計画書、個別支援計画なども重要です。

ただ計画書がファイルに入っていれば大丈夫、というものではありません。

確認しておきたいのは、

・作成時期
・計画期間
・利用者や家族の意向
・目標
・具体的なサービス内容
・ケアプラン等との整合
・実際のサービスとの整合
・説明、同意、交付の記録

などです。

特に危ないのが、

「計画書の内容と実際に行っているサービスが違う」

という状態です。

ケアプランでは週3回なのに実際は週5回。

計画書には生活援助しか書かれていないのに、実際は身体介護も行っている。

計画上の時間帯と実績が大きく違う。

こういった状態になっている場合は、なぜそうなっているのか説明できるようにしておく必要があります。

③ モニタリングも同じ文章になっていませんか?

毎月モニタリングをしていても、内容が毎回ほぼ同じということがあります。

利用者さんの状態が変わっているのに、

「変わりなく過ごされています。今後も継続します。」

だけが何か月も続いている。

これでは、本当にモニタリングをしているのか分かりにくくなります。

大げさな文章を書く必要はありません。

今月の状態はどうだったか。

計画の目標に対してどうだったか。

サービス内容を変える必要があるか。

このあたりが自然に残っていれば十分です。

大切なのは「文章を長く書くこと」ではなく、実際の支援と記録がつながっていることです。

④ BCPはファイルを作っただけで終わっていませんか?

運営指導対策で最近特に注意しておきたいのがBCPです。

インターネットから雛形をダウンロードして、事業所名だけ変更したBCPが置いてある。

これだけでは十分とは言えません。

災害が起きたら誰が動くのか。

職員の安否確認をどうするのか。

利用者へのサービスをどう継続するのか。

避難先はどこなのか。

連絡網は最新なのか。

感染症が発生したらどう対応するのか。

事業所の実態に合わせて整理しておく必要があります。

さらにBCPは、

・策定
・職員への周知
・研修
・訓練
・実施記録

までセットで考えた方が安全です。

BCP本体は立派なのに、連絡先が退職した職員のまま。

訓練記録が一度もない。

こういう状態はできれば避けたいところです。

⑤ 感染症対策も「マニュアルがあります」だけではない

感染症対策についても、

・指針
・委員会
・研修
・訓練
・職員への周知

など、事業所に適用される基準に沿って確認しておきます。

ここでよくあるのが、

「研修はしました」

というケースです。

では、

いつ実施したのか。

誰が参加したのか。

何について研修したのか。

欠席した職員へはどう伝えたのか。

こうした記録まで残っているでしょうか。

普段から職員同士で話をしていることと、事業所として研修や委員会を実施し、その記録を残すことは別です。

運営指導は「書類の量」ではなく「つながり」を見ておく

運営指導対策というと、

「とにかく書類をいっぱい作らないと」

と思われることがあります。

でも本当に大事なのは、書類の量ではありません。

たとえば感染症なら、

指針がある

委員会を開催する

議事録を残す

研修・訓練をする

職員へ周知する

その記録を残す

というように、一つひとつがつながっていることです。

計画書も同じです。

ケアプラン

個別計画

サービス実施

モニタリング

必要に応じて計画変更

という流れが自然につながっているか。

ここを確認しておくと、運営指導でも説明しやすくなります。

「通知が来てから」ではなく、普段から少しずつ

運営指導の通知が届いてから、

「この研修いつした?」

「去年の委員会議事録どこ?」

「この人の昔の計画書がない」

となると、かなり大変です。

最近の書類は直せても、過去の記録はすぐには整えられません。

だからハイタッチでは、

「運営指導が来たら対応する」

ではなく、

「普段から運営指導に来られても困らない状態を作っておく」

ことをおすすめしています。

後編では、

虐待防止
身体拘束
研修・委員会
処遇改善加算
WAM NET
人員基準

など、意外と抜けやすく、場合によっては減算にも関わるところを紹介します。